長谷川亮太の部屋

イタリア。

ようこそ実力至上主義の教室へ SS 「伊吹と石崎とアルベルト、そして椎名の一日」 7巻とその後を繋ぐインタールード

綾鷹に負けた龍園が、澪に殴られた後あたりの話(8億ポイント云々の後)。

龍園と綾小路の対決から翌日のこと、

伊吹は昨日のことが忘れられずにいた。

入学から今まで龍園がやってきたことを想起する。

そして、龍園の退学を阻止した石崎と山田と待ち合わせをして合流する。

龍園の話題をしつつも、一行でケヤキモールに行く。

そこでもやっぱり、龍園の話。

石崎が綾小路の話をしようとしたところで彼を黙らせる。

伊吹「大嫌いね。そしてその大嫌いな人間が昨日で二人に増えた」

茶道部の帰りのひよりが話の輪に入ってくる。

話題はCクラスの展望について。

そこで、伊吹は自分自身のふがいなさに気づく。

そして、お茶に誘ってくれた石崎と山田、声をかけてくれた椎名ひよりの……

クラスメイトたちの思いやりに気づいたショートストーリー。

 

これは二学期が終わって、冬休み初日を迎えた日の出来事。

そして、あの『事件』があった翌日。

 

いや、龍園翔を含めて全てあの男の思う壺だったんだじゃないだろうか。

思い返せば、入学してからの日々は落ち着くことなく、そして荒れていた。

Cクラスに配属されるなり、龍園翔はクラスメイトの掌握を始めた。

もちろん、最初はクラスの誰もが龍園の台頭を否定し、刃向かった。

石崎や小宮はもちろん、金田だって高圧的な龍園を認めようとはしなかった。

そんな龍園は、当然Cクラスから疎まれ、そして抑えつけられた。

クラス内に生まれがちな虐めの始まりを予感させた。

でも、あいつは正面からそれを撥ね除けた。

監視カメラの存在や、学校のルールなんて気にも留めず、石崎たちを殴り飛ばした時には正直驚いた。

だけど、龍園には最初からわかっていた。クラス内の揉め事は基本的に学校に訴えることは出来ない。何故なら、それは直結して自分たちの首を絞めることに繋がるからだ。

そうやって無茶を繰り返しながらも、龍園はルールギリギリのデッドラインを見極めてきた。

事実龍園は、機能まであの手この手を駆使してCクラスを率いてこれたからだ。

※7巻の龍園のセリフ、「お前らはこの学校のどこに、何台監視カメラが仕掛けられているか。それすら知りはしないんだろうな」「調べなきゃわかるはずもない。だが、調べれば目に見える範囲は全て把握できる」「この学校は一見、規律に守られた仕組みをしているように見える。だが実態はそうじゃない。強引な手法もやり方によっちゃ認められるようになってるってことだ」「おまえらには分からないだろうが、少し頭の切れるヤツらは常に試行錯誤している」「俺が入学して最初にやったことは、この不可思議な学校の『ルール』と『クリア方法』を探ることだった。俺がこの学校に入学して、そのシステムを理解するうえでやったこと。それはプライベートポイントがどこまで有用なものであるかを計ることだった。」「事実、俺は2年生のDクラスに所属する生徒何人かにプライベートポイントをチラつかせ交渉してみたが、一度も成功しなかった。話せば相応のリスクがある証拠だ」「こんな風に、俺は常に許容と違反の境目を狙い続けてきた」

 そんな計算も、打算も、全ては『驕り』をもたらした。

反則技とも呼べるテリトリーでは、絶対に負けないと勝手に思い込んでいた。

起きるべくして起きた事件。

 

「今まで龍園に抑えつけられてきて不満溜まっていたんじゃないの」

私は別の意味で不思議に感じだことをそのまま口にした。

石崎は龍園の独裁の中、定期的に無能さを槍玉にあげられていた。

直接的に制裁を加えられ、一番殴られたのは石崎だろう。

「そりゃ、不満がなかったて言えば嘘になるけどよ……でも」

「いや。今はもう認めてるっつーか、尊敬してんだよ」

 

「あんなたなら。本気出せば龍園にだって勝てるでしょ」

普通の喧嘩ならアルベルトの方が圧倒的に有利だ。

事実、過去の直接対決では3回中3回アルベルトが勝っている。

ただ私の知らないところでも二人は喧嘩を繰り返しており、結果的にアルベルトは龍園の軍門に下ったとのこと。ある程度状況は飲み込めているつもりでも、不思議な話だ。

 

「おまえ、アルベルトが龍園の指示以外で誰かを殴ってるの見たことあるのかよ」

とにかく石崎たちの話から状況は理解できたし、そろそろ帰ろう。

私は今日一日、何時間も外で立ちっぱなしだったから体が冷え切っている。

 

石崎は口も悪いし暴力的だけど、根は真っ直ぐだ。

 

私は入学してから今日という日まで、一度も龍園という人間を好きになったことはない。ただ、一定の評価をしていたことは認める。

だからこそ、昨日今日の出来事に苛立ちを隠せなかった。

 

「大嫌いね。そしてその大嫌いな人間が昨日で二人に増えた」

 

伊吹「3学期から私たちはDクラスに落ちる。もう戦いは終わったの」

ひより「そうとは限りません。私たちCクラスは必ずもう一度浮上します」

伊吹「はっ、なにそれ。根拠あるわけ? それともあんたが引き上げる?」

ひより「もちろん私も協力します。そして全員で力を合わせましょう」

 

だけど実は『私にとって逃げ場のない本当の一日』は、もう少し後にやってくる。